◆◆◆ 座位保持装置.の定義. ◆◆◆
座位保持装置とは、外傷や疾病等により座位を保持できない障害に対して、①生理機能の向上②変形拘. 縮の予防と矯正③日常生活動作の改善等を目的として座位を保持させるための補助装置である。
◆◆◆ わたしたちは、座位保持装置を製作しています。◆◆◆
座位保持装置とは、利用者患者様の背中から腰部、骨盤、大腿部までの型枠を取り、その型枠からクッションを削りだしていく身体保持装置の事を言います。
型どりを行うので、一度作ったら修正が効かないという印象を受けますが、削ったり、足りない(保持不良)な部分は付け足して修正する事ができます。
このため、身体状態が変化した、小児の成長のため合わなくなった、違う利用者に適応したい等、後々でも無限に再修復が可能です。
◆◆◆ 座位保持装置ができるまでの流れ ◆◆◆
①座位姿勢の身体ラインの型取りを行う。
身体背面、骨盤、大腿部までの身体輪郭とアライメントの型を取ります。
『ビーズクッション型の採型機』という機械を用いて、ビーズクッションの柔らかい状態で座位となり、エアポンプで空気を抜くことで全体が固くなり、座位姿勢の型取りができる機械です。
この型取りから、石膏包帯で形を不変な状態にします。
②採型機から石膏包帯を流して型どりを行う。
ビーズクッション型採型機での型取りから石膏包帯で、実際の身体状況の型枠を取っていきます。
このときの過緊張で身体が固く、反射や連合反応が発現してる状態であれば、臥位姿勢で筋緊張を安定させてから型取りを行います。
全体の完成度に直結するものであるので、最も集中する作業です。
尚、現在では、NC工作機械でパソコンを使って簡単に3Dの図面を作りそのままクッションに置き換える事が出来ます。
しかし、わたしたち施術者は作業療法士という、医学の国家取得者であるため、実際の身体の状況を評価しながら作ります。
このため、現在でもこの方法を採用しています。時代遅れでしょうか。
でも、型枠を作るとその人が身体のどこで、どのように筋力を使い、バランスを保持し、神経や反射が影響しているのかなど、手に取るように分かるので、医療として採型機+石膏包帯の方法でゆっくりやっています。
③型どりした石膏包帯からクッションを切り出していく
石膏で取った型枠をオフィスに持ち帰り、人の背丈、人の体格ほどのある大きなブロッククッションを押しあてながら、当たる部分を削ってきます。
はじめは、大体の大きさに掘り出していき、詳細な部分はチョークや染色粉を付けて、強く当たっている色のついたところを少しずつ削ってきます。
ここで、「あー、この子はここが強く当たると過緊張を起こすんだな」とか、
「片麻痺のあの人は、ここの支えを安定させると、プッシャー現象が消失するんだな」・・・
または「大腿部切断のあの人は、座面はフラットに近く、腰部は座骨から18.53mm付近で前に倒れる不安がなくなるんだ!!」などが発見できます。
NC工作機械は便利で楽です。私たちも楽をすることはあります。
でも、それは業者さんレベルの話。
本当の医学というエビデンスに基づいたものづくりや椅子づくり、シーティングやフィッティングは、こうやって、ひとと人との会話だと我々は思います。
④切り出したクッションで仮合わせを行う。
右図は『セラピストナイフ』という道具を使っています。
ウレタンクッション専用ナイフで、裁断していき形状を身体輪郭に近づけていきます。
ウレタンの削りと補強を繰り返していき・・・
「ここが強く当たっているな」
「ここはもう少し支持がほしい」
などと思考やひとりごとを言いながら地道な作業が続きます。
ある程度仕上がりを見せたクッションは、実際にクライアントに持参し、仮合わせに入ります。
ここで、座位保持、安定性、安楽感、使用感、ほしいなあ感の確認を行います。
doctor、nurse、therapist、にも確認いただき、すべての皆様に評価いただいたうえで、本仕上げに入っていきます。
⑤仮合わせで製造の見通しが立ったら成型作業に入る。
身体輪郭や座った時の腰部の支持、
坐骨から大転子までの支持は十分か、
ラテラルサポートのあたりの強さは適当か、
全体のホールド感やモールド性の確認
などを行いながら、最後の削りを入れていきます。
完成はもうすぐです。
⑥成型したクッションにカバーをかけて完成。
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◆◆◆ 様々な分野に可能性のある座位保持装置 ◆◆◆
座位保持装置は完全にオーダーメイドでつくられるのが正統なやり方です。
確かに非常に難しく、筋緊張のコントロールを行い詳細な調整が必要ですが、一度身体に合わせた座位アライメントのラインはご自身の体に吸いつくようにフィットします。
そのまましばらく体感していると、座ったまま眠れる程です。それほどに身体に合わせたラインはリラクゼーション効果があるということです。
この体感が、ひとの身体はここに重心があって、こうするとバランスが不良になって、だからここを支える必要があるんだな。。。といった姿勢や制御の気づきになるのです。
この技術を利用していくことでシーティングやフィッティングに応用する事が出来ます。すると、高い金額のクッションや難しい知識を詰め込まなくても、身近なクッションを利用する事、そのクッションをタオルや段ボールで加工するなど、現場や在宅での応用技術に繋がっていきます。
◆◆◆ 座位保持装置を作る技術をあなたに ◆◆◆
座位保持装置やシーティングクッションの製作は業者やメーカーがつくるもの、特殊な技術がないと作れないと、思っていませんか。
そんなことはありません。どなたでもオーダーメイドの椅子を作ることができます。椅子自体を作ることはさすが時間や工場や工房が必要ですので、椅子だけは御用いただくか、今現在使っている椅子があれば十分です。
この椅子に、あたなが思い描く姿勢や保持のイメージを形にします。その形にするお手伝いを私たちが行います。
もしご興味があり、ご自身で作ってみたいと思われた方は、弊社と強力研究機関である、日本ユニバーサル リハビリテーション協会へお越しください。
必ず、つくって持って帰るクッションを手にすることができます。